堂本剛「この仕事は向いていない」それでも芸能界で生きる理由とは?

 グーペ

 5月8日の横浜アリーナ公演を皮切りにENDRECHERIのツアーが始まっている堂本剛Kinki Kids)。昨年に引き続き、今年も大型野外音楽フェス・SUMMER SONIC 2019への出演が決まるなど、充実した活動が続いている。

 堂本剛は4月10日に40歳の誕生日を迎えたばかり。不惑の年となったわけだが、今も彼の心のなかには悩みや葛藤が渦巻いているようだ。

 「音楽と人」(音楽と人)2019年6月号のインタビューで堂本剛は<向いていないと思うので、この仕事を辞めて、何か違う仕事をしながら普通に生きていこうかなって想像することはありますよ>と発言している。いまだに芸能界に生きることへの違和感が拭えていないことを明かしたうえ、このように語っていた。

<疲れているのにそれを見せず『全然疲れてません。まだまだいけます』って、コメントとして言おうと思えば言えるけど、今の自分はそういう精神がないんです。だから、〈疲れてますよ。そんな中やってるんですけどね〉っていう枕詞がついちゃうんです。40歳が不惑というのであれば、それは僕にとって『疲れてます』って、迷わず言えることでもあるのかな>

 疲れを素直に表明できるのは、まずいことではない。無理を重ねて突っ走り、倒れてしまうよりずっと良く、そのバランスを理解しあいながら働ければ、それは多くの人の生活をラクにするだろう。芸能人は大なり小なり虚像を演じることを強いられるが、そんな業界において堂本剛は、迷わず「疲れてます」と言える居場所を見つけているのだろうか。

 ただ、芸能界に生きることについて、同インタビューのなかで彼は<作られた優しさの中にいるのはすごくしんどいし、疲れる>とも語っている。それは、虚飾に彩られた「東京」自体への疲れなのかもしれない。2018年9月29日放送『SONGS』(NHK)でインタビュアーから故郷・奈良について聞かれた際に彼はこんな言葉をつぶやいていた。

<ここにずっといられるなら、ここにいたいっていう場所ですかね。僕はもう何十年と、生きづらいなと思って東京にいるんで、ここに戻ってきた方が無理もしなくていいし、余計なことも考えなくていいし、自分本来を守ってあげられるっていうか。自分のことを愛してあげられる時間が、こっちの方が増えるなぁっていう印象なんで>

堂本剛が大切にしているもの
 では、なぜそんな辛い気持ちを抱えてまで彼は東京で仕事を続けているのだろうか?

 それは、音楽と、音楽を通じて出会った人とのつながりがあるからだろう。前掲「音楽と人」で彼は、自分の人生にとって音楽がいかに大切なものなのかも語っている。

<音楽にすごく救われてますよね。音楽を通じて出会った人も多いし、めちゃめちゃ大きいですね>
<もっと単純に、仲間や家族、メンバー、オーディエンスの人たちと平和に暮らしていけたらなって思ってる。そういう思いがあるから、耳は壊れていても、音楽はやりたい。この身体で体現できる音楽を追求したい>

 40代になって初めての放送となる4月29日放送「Kinki Kidsどんなもんヤ!」(文化放送)のなかでも、彼は<本当はね、大学とか行きたかったですけど。服飾とか行きたかったんで>と人生でやり残したことを振り返りつつ、<でも、ジャニーさんが音楽やりなよってところから音楽が始まっていくという。まあ、とにもかくにも、僕の人生はほぼ音楽ということで時を刻んできたな>と、音楽に出会って、それを仕事にできたことに感謝を捧げていた。

 知っての通り、彼は2017年に左耳の突発性難聴を患い、現在でも完治はしていない。ライブでは耳栓をつけるなどして左耳への負担を下げるかたちで演奏を行っている。しかしそれは、右耳への負担を増やしてしまうことでもあるし、また、レコーディングなどの場面では思うように動いてくれない身体に悔しい感情を抱くこともあるようだ。

 それでも彼はENDRECHERIの活動を続けていく。昨年はSUMMER SONICイナズマロックフェスといった音楽フェスに出演した。そのことで強く感じたのは、自分自身の達成感はもとより、ずっと一緒にやってきたバンドメンバーがENDRECHERIでフェスに出られたことを喜んでくれたことに対する嬉しさだったという。

 堂本剛がENDRECHERIで追求してきたファンクは、彼を「ジャニーズ事務所のアイドル」という色眼鏡で見ていた人をも巻き込みつつある。インターネットとの関わり方をはじめジャニーズ事務所の戦略には保守的な面が多くあるが、そういった側面を飛び越えてENDRECHERIの音楽が多様な価値観をもつ人に届くといい。そしてそれは、「男性アイドル」のあり方に対して新たなロールモデルを提示することにもなるだろう。 

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